NEWS
投稿日:2022/07/07

株式会社アカデメイア 物性部門・赤井久純主任研究員の研究成果が論文誌に掲載されました。

株式会社アカデメイア 物性部門 に所属する 赤井久純 主任研究員 の研究成果が論文誌に掲載されました。
Scientific Reports誌(Springer Nature社、2022/6/23発行)
https://www.nature.com/articles/s41598-022-14561-8

この研究は、金属と半導体の性質を持つ物質として産業的応用も視野に大きく注目される「ハーフメタル」のうち、その構成原子のスピンが全体として磁気を打ち消し合うような構造(完全補償型フェリ磁性)になっている物質を、開発指針を伴って合成したというものです。
この物質は1995年に van Leuken と de Groot によって存在が予言されていましたが、人工的な創出には困難を伴っていました。
赤井らは、この物質を作る際の指針「互いに反強磁性的に結合する一対の磁性イオンに対する(有効)d電子数の合計が10でなければならない」を策定しました。
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.97.026401

この指針のもとに様々な元素の組み合わせによってこの物質を実現する可能性を探るため、赤井らは自らの開発したAkaiKKRによる第一原理計算を用いて探索を行い、これまでに、たとえばNiAs(ニッケルヒ素)カルコゲナイドでこれが実現可能である、というような結果が得られていました。
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/0953-8984/19/36/365226
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/0953-8984/21/6/064241

今回、赤井らは第一原理計算*1を用い、Cr, Fe, Sから作られる物質を提案し、現実に作られた物質でも完全補償型フェリ磁性の発現が確認されています。

*1 密度汎関数法:局所密度近似/一般化勾配近似(LDA/GGA):全電子フルポテンシャルKorringa-Kohn-Rostoker Green関数法(FPKKR)とコヒーレントポテンシャル近似(CPA)の組み合わせ(FPKKR-CPA)

計算によってこのような予測が行われ、またそれが現実の物質開発にフィードバックされるという例は今後も多くなっていくと考えられます。
株式会社アカデメイア 物性部門では、物性の予測や物性にかかわるソフトウェアの開発・試作・計算をはじめ、AkaiKKR、SALMONなどの弊社研究員が関わるソフトウェアを用いた具体的な課題解決も行っています。
小さなお悩みでも構いませんので、お気軽にお問い合わせください。
https://www.academeia15.co.jp/contact