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投稿日:2023/03/13

応用物理学会裏話

応用物理学会に向けて、わたしたちは3Dで動かして、見せることができるブースを作りました。
どうして、どのようにこのようなものがつくられたのでしょう?
応用物理学会で展示されるブースの3D

物理学会のちょっとした失敗


広報担当Hzです。
9月に物理学会に初めてポスターを出展したとき、そのポスターは目立つものではありませんでした。
具体的にはブースの大きさに対して紙面がたりなかったり、文章が多すぎて通りがかる方に対するフックが足りなかったりしました。そう、まるで学生が作るポスター発表のようでした。立ち止まってじっくり読むにはいいものの、ざっと遠目に流して見る企業ポスターには向いていなかったのです。周囲のポスターを見ると、もっともっと文字が大きかったり、そもそも説明していないものもありました。
そこで、よりポスターに語らせるにはどうしたらよいだろうか? ということを考えるようになりました。
そこで弊社の持つ技術を活用して、3Dを立ち上げて確認したい! となりました。
そうすれば、ブースの与えるインパクトや、ポスターの並びの居心地の良さを現場に行かずとも、印刷に出す前に確認することができるはずです。

技術者に相談したところ、なんと30分でモデルは出力されたのでした。

ポスターの試作を繰り返した


当初作っていたポスターはこんな感じでした。
物理学会の反省があったのですが、これでも遠目から見るとなんだかインパクトが小さいことがわかります。Blender、というツールをつかって3Dモデル実際に画像を貼ってみることを繰り返して、デザインのブラッシュアップができました。
わたしにはデザインの知見があるわけではないですが、実物を作るのが難しい大判ポスタに対して、スケールや客観的視点を与える3Dモデルには本当に助けられました。
ここからは、技術者にバトンタッチして、30分でなにが行われたかを見ていきましょう。

どのように作ったか? 実質30分の偉業を技術者は語る---

背景として、私ができるのはVR一般人レベルで、某VRSNSを歩けばこれくらいできる人はごろごろいます。Blender歴は2年くらいですが、小物作ったりするくらいでアバターいじりやリグやシェープキーはノータッチです。
それはいいとして、どう作ったか、ですね。本件は、
「学会ブースのイメージって少ない工数で立ち上げられたりしますか、3D」
「学会ブースイメージ とは? 学会に出展する企業ブース「アカデメイア」のモック?」
というやり取りで始まりました。

1. 要件のディスカッション (15分)

まずは顧客が本当に欲しかったものを聞き取ります。

  • 学会指定のブースをぐりぐり回して見た目を確認したい。
  • 主にポスターの改善に使いたい。
  • 可能なら現地に持って行ってぐりぐり回して見せびらかしたい。
  • もしかしたら別の誰かに渡すかも
  • 工数は極力かけないつまり、必要なのは以下です。
  • ディテールはそんなにいらない。むしろ軽く。
  • 寸法は極力現実準拠
  • ポスター画像改善したら即反映
  • 権利的にクリーン(全自作ほか)

2. モデリング構想

ここで、指定のブーススペース画像が送られてきました。

a.やばそうなもののチェック(10分)
権利的にクリーンにしたいので、意匠権とかあったら面倒です。
見た感じ、現実寸法にしたい、かつ引っかかるかもしれないのはパイプ椅子くらいかなと思うので、チェックしますが大丈夫そうです。(構造は実全平01-131346)
他は現実寸法にしたいところはパネルや机の幅、高さくらいなので、あえて妄想で作ります。

b.作り方チェック(5分)
ざっと眺めて、繰返しできそうなところ、透明なところ、光らせたいところ、金属部分をチェックします

  • 繰返し:ポスターパネルとライト
  • 透過:なし
  • 光らせる:ライト電球
  • 金属部分:パネル、椅子、ライト外装

(今回は面倒になってマスク設定とか放置)

次に、仕様関連の要請をチェックします。

  • 他者の頒布品は使わない。
  • ブース本体はマテリアル1個にまとめる。
  • ポスターはマテリアル1つずつ。社名板も1つ。

私が3D化を始めるまで30分かかりました。

3.Texture作製

ペイントソフトでTextureを作ります。(5分)
今回はブース本体のTextureで256*256のpngべた塗でいいでしょう。
パネル金属部、椅子フレーム、椅子の背の色、机のシーツ、机本体、床、ライト外装、ライト電球
の8色がおもいつくのでとりあえず4×4の16色を確保します。ガチガチに容量を気にしたい場合には横縞になるように作るとpng容量が減りますが、今回は普通のAtlasにします。塗分けてTextureにし、金属、発光部分のマスクを作ります。

4. blender作業(25分)

Cubeは捨てません(SDGs)
初期画面に表示されるCube。捨てることが多い。
初期画面に表示されるCube。捨てることが多い。
作り方チェックに従い、ゴリゴリ作っていきます。Cubeはパネルになりました。
あとで微調整する可能性があるので、Meshはまだ固めません。
実際に動かす可能性のあるものは稼働点を原点にしておくと楽です。(今回はライト)
人の視点は1.5m くらいとして、上にあるライトは注目されにくいのでローポリ、机や椅子は目が行きやすいのでほんの少しハイポリにします。
椅子が意外と面倒で10分以上かかりました。

ポスターの上下チェックも忘れずに。

5.Bake

(しませんでした)

電球光を焼くつもりでしたが、この辺で見せたらいいんじゃね?ということだったのでこれで終わりにしました。

6. 出力

とりまfbxで出力し、見えるか試してもらいます。→OKぽい
以上。実質30分なので無料!

ありがとうございました。

(Mesh固めなくても動いたので試したのを最終品として提出)

という裏話でした。そんなわけで、株式会社アカデメイアは応用物理学会に出展します。
3Dから起こされたポスターをご覧になり、雑談でもしていっていただければ嬉しいです。