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投稿日:2021/07/16

鉄道模型のススメ – 品質・保守メンテナンス編

どうもシリーズ化してしまいそうだが、ネタがつきないので空気を読まずに綴らせていただくことにする。「製品購入編」で実際に製品を購入する際のポイントについては紹介した通りである。
さて、必要な製品は入手し準備は整ったとしよう。ではいよいよ運転に入るわけだが、固定レイアウト(一般的にはジオラマという表現が分かりやすい)でない場合、一般的には、レール・ストラクチャー・制御機器の配置、配線、列車配置、走行、片付けがいわゆる1サイクルとなり、これを繰り返す形になる。もちろん、趣味が継続するようならレールも車両も数は増えるし、レール配置パターンや運転方法にもバリエーションは出てくるだろう。
なお、固定レイアウトの場合はサイクルの一部が省略されるのだが、詳細については別途機会を設けさせていただく。
あとは鉄道模型趣味ライフを楽しく満喫してもらえればおk!(完)
で終わってはそもそも記事にならない。。。本稿は鉄道模型趣味を続けていく上でどうしても欠かすことのできない「保守メンテナンス」について緩く紹介していく。いつもながら、筆者自身の経験を踏まえた上での主観的な内容であり、あくまで参考として受け止めてほしい。また、あらかじめ断っておくがNゲージャー諸氏が様々な方法論を展開しており、本稿は手段の一部でしかなく「自己責任」という言葉がつきまとうことになるので、そのつもりで読み進めていただきたい。

1. 鉄道模型の品質について

あくまで私見ではあるが、筆者が購入している製品群を見ている限り以下のような品質的特徴がある。車両はKATOもしくはTOMIX製、それ以外はTOMIX製である。

車両(自走可能な動力車と自走不可能なトレーラ車に大別される)

  • 適切な取り扱いを行っていれば製品寿命は極めて長い。(実例として、筆者の車両入手第一号である約40年前のKATO製機関車は現在も何ら問題なく走行する。)
  • 何年も保管放置したままの動力車は直ちに動かないこともあるが、部品そのものは損傷していないことが多く、分解メンテナンスで清掃や注油を行うことで復活する。前述の機関車もそうだが、購入から30年以上経過した動力車はメンテナンスによりほぼ全面的に復旧した。
  • 特に金属部分の汚れにより、通電しない不具合がしばしば起こる。これを解決するためのメンテナンスツールは一般的に販売されており、大抵は除去可能である。
  • 車輪の汚れは走行させると確実に発生するものなので、定期的な清掃メンテナンスは必須である。
  • 動力車の心臓部とも言えるモーターが自然に壊れることはほとんどない。
  • 消耗品の類で経年劣化するものもあるが、該当パーツのみを交換することで解決する。ただし、筆者の経験上はせいぜい動力車のトラクションタイヤ程度である。普通にケースに入れて居住空間の適当な収納場所に保管しておけば、部品の変形はおろか車体の色落ちすらほとんど起こらない。
  • 何か不具合があるとすれば、ほぼ新品時点ですぐに発生する。原因は初期不良というより、そもそも製品設計上の問題であることが多い。


筆者の最初の入手車両 【KATO 701 DD13】

ポイント以外のレール

  • 車両同様に適切な取り扱いを行っていれば、製品寿命は極めて長い。例えばレールの伸縮(若干あるが使用上問題なし)や変形、部品が外れてしまう等の現象は起こらない。筆者のレイアウトでも40年近く前に知り合いから譲渡された旧製品を一部使っている。
  • 放置すると錆びが発生して通電しなくなるため、一時的に使用不能になる。ただし、クリーナー等を用いて磨けば除去可能であり復活する。
  • 構造はシンプルなので、落下程度では破損しない。
  • レール端部のつなぎ目にはジョイント、ジョイナーと呼ばれる部品が使われるが、レール同士を接続したり外したりを繰り返すことで変形が起こる。この変形で通電が遮断されてしまうことがあるが、たいてい緩んでいるだけなので工具で直すことが可能である。
  • しばらく列車を走行させると、車輪の場合と同様にレールにも汚れ(よくカーボン汚れと言われる)が「必ず」発生する。これはクリーナーで清掃すれば簡単に除去できるし、走らせて汚れを落とすクリーニングカー等の清掃ツールも販売されている。

ポイントレール(制御機器により切替を行う電動タイプと、レール脇にある小型のレバー操作で切替を行う手動タイプがある。)

  • 近年のモデルは構造が複雑化しているせいか、電動タイプの場合は切替時の動作不良が発生しやすい。旧製品の方が確実に動作する。
  • 製品に当たり外れがあるように感じる。外れの場合は新品でも切替先でヤード(行き止まり)になっている場合は電圧降下が発生しやすい。
  • 構造がシンプルなためか、手動タイプの方が品質としては優れている。
  • 分解してメンテナンスすれば復旧できるようだが、車両よりさらに繊細な構造なので難易度は高い。筆者は固定レイアウトに組み込んでしまっていることが多いため不具合のおきたレール自体を取り外すことに失敗して何台かは壊してしまった。

制御機器(パワーユニット、ポイントコントローラ、フィーダー(パワーユニットからレールへの通電ツール))

  • 個数だけはいくつも所有しているが、ノーメンテナンスで何年経過しても動作不良が起こった個体は一つもなく、とにかく壊れない。
  • 旧製品の頃から保護回路が内臓されており、ショートによる破損等が起こらないようにきちんと設計されている。

総じて言えることは、保管状態に気を付けていれば(といっても室内ケース保存しておくだけで十分)部品自体の経年劣化はあまりない。大抵の場合、不具合が起きたときに自力メンテナンスで復活させることが可能である。実際に不動状態に陥った中古の動力車を安く手に入れて自力で復活させているNゲージャーは多く、動画サイトにもその模様が投稿されているのを見かける。

2. 保守メンテナンス

前述の品質特徴を踏まえると、保守メンテナンスのポイントとしては次のことが言える。

  • あまりに酷使する(長時間走行しっぱなしだと発熱でモーターが壊れる)のは控えるとしても、定期的に車両を走行させた方がレールにとっても車両にとっても良い。
  • カーボン汚れは発生するが、これはツールもあるのでそこそこ手軽に除去できる。
  • むしろ錆が発生したり動力車内部のグリスが固まってしまう方が、除去や清掃にかなり手間がかかる。
  • つまり、鉄道模型を趣味として続けていくのであれば、定期的な走行と清掃メンテナンスというルーチンはほぼ必須である。
  • 実車というか機械一般に言えるかもしれないが、ずっと機能させないまま長期間放置して、久しぶりに起動しようとしてもうまくいかなかったりするものだ。それとほぼ同じと考えて良い。
  • 車輪等表面的に触れるところの清掃のみでどうにもならなくなった場合は分解して原因究明するわけだが、ここでメーカー保証は外れ、全面的に自己責任となる。
  • ただし、鉄道模型を長く続けていくのであれば、分解に慣れた方が圧倒的に有利である。修理代等の余計なコストなしに自力復旧でき、ある種の達成感も得られるからだ。注油のためのオイルや洗浄液は安価に売られているし、ネットにも分解メンテナンスの情報はたくさんある。
  • 筆者は極めて手先が不器用だが、それでも分解によって動力車を完全に不動にしてしまった(外観の一部部品を破損したりはしたが・・・)経験はない。個人差はあるが、目安としてTOMIXの推奨年齢(15際)以上のNゲージャー諸氏なら十分にチャレンジ可能だと考える。


分解された機関車

3. 最後に

鉄道模型は精密機械なので、何となく繊細で壊れやすく、しかも高いというイメージを持たれるかもしれない。
しかし、実際には全く逆でほとんど部品交換無しで済む長寿命製品(消耗品の類は安価)であり、コスパはむしろ良いと感じる。
序盤にも書いたが筆者の所有車両第一号が未だに壊れてない(たぶん当時価格で3000円くらいだと思う。もちろん消費税導入前。)ので、実際何年くらい大丈夫なのかすらもよく分からないのだ。
鉄道ファン同様に対象年齢層も広く、子供から年配者まで生涯趣味としている人も多い。自分が使っていた製品を「孫」にプレゼントするケースもあるようで、「壊れた玩具」などでなく正常動作する「現役」の所有者継承というわけだ。機械である以上いつか寿命は迎えるが、自分は動き続ける限り最後まで使い続けていきたいと思う。